画家・版画家として活動する神山亜希子さんのウェブサイト制作をお手伝いしました。人々のごく一般的な営みを描いてきたという彼女の芸術は、平凡やノスタルジーといったような共感を訴求する類のものではありません。あえて言葉にするならば、理性と感情の齟齬を可視化した世界、でしょうか。キャンバスの上には、「人間」のような何かが、嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか、いずれともつかない様相で佇んでいます。彼女の作品を前にして覚えるある種の不気味さ、物悲しさを、世界中の人々に感じてもらうこと。それが、神山亜希子デジタルアーカイブプロジェクトです。
不意に現れる作品と、それと対峙するユーザーとの一対一の「間」を演出するため、美術館やアートブックに見られるような一点一点鑑賞するUXをデザインしました。サイトタイトルや有彩色など、ファーストビューにおいて彼女の作品をなんらかのかたちで規定してしまう要素は極力排除し、作品そのものとユーザーとの純粋なコミュニケーションにUXの重きを置いています。