イーサリアム・ブロックチェーンのテクノロジーを活用した情報プラットフォーム「Reality Check」のブランディング、プロダクトデザイン、フロントエンドの開発をお手伝いしました。ブロックチェーンとは、ビットコインなどに代表されるデジタル通貨の根幹技術で、中央管理なしにデータを安全かつ改ざん不可能なものとして記録できるテクノロジーです。Reality Checkはこの技術を応用し、金銭的インセンティブの仕組みが実装されたQ&Aサービスを提供することで、正確性の高い情報の集積を目指しています。
Reality Checkは、お金のやりとりを前提としたQ&Aウェブアプリケーションです。質問するにはReward(報奨金)の設定が必須で、回答するにはBond(保証金)の設定が必須です。もし、すでにある回答が誤りで、真の回答を知っている場合には、前回答者の倍以上の金額をBondとして設定することで回答を上書きすることができます。最終的に確定された回答の投稿者には、Rewardと回答者全員のBondを合算した金額がペイアウトされる仕組みになっています。逆にいえば、誤った回答をするとBondとして設定した金額を失ってしまうため、回答する側に一定の責任持たせることができます。
Q&Aサイトには、読み物としてのメディアの側面と、質問/回答するためのアプリケーションの側面があります。特にReality Checkには、これまでのQ&AサイトにはないReward、Bond、Arbitration(仲裁解決)、Step Delay(回答期限)などの特殊な仕様が存在するため、とかくUIが煩雑になりがちです。そこで、メディアの役割を担うウィンドウと、アプリケーションの役割を担うウィンドウ(RC Browser)を擬似的に分離し、OSにおけるデスクトップとアプリケーションのような関係をウェブブラウザ上に実装することで、直感的に操作できるUIをデザインしました。
どんな権力にも依存しない改ざん不可能な台帳というブロックチェーンの特性を利用して、インターネット空間に事実を記録していくことがReality Checkの本質です。実用的なところでは、賭けの結果確認や保険契約の自動執行、あるいは単なるゲームとしての利用を想定しています。一方で、昨年のBrexitやアメリカ大統領選、DeNA問題等によって露呈された"デジタルテクノロジーの民主化"がはらむポピュリズムに対し、ジャーナリズムの在り方そのものに疑問を投げかけるプロジェクトでもあります。ファクトとフェイクの錯綜するインターネット空間において、情報の確実性を担保する最後の砦になることが、このプロジェクトの目指すゴールです。